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<< 名歌手は歌を選ばず >>


2002/10/1(Tue)

 友人から「テイストが合わないといって唄い手に楽曲を拒まれた」というぼやきを聞いた。実力派の歌手ゆえ自分の唄う曲にうるさいのも仕方ないが、僕に言わせれば唄えない歌があるなんて甘ったれだ。
 どんな歌でも自分の歌にしてしまえる懐の大きさをもってこそ歌手の中の歌手だと僕は信じている。自分の唄いたい歌が唄えるのは当たり前。そんなの素人にもできる。唄えないはずの歌をも見事に唄いこなしてこそプロ。歌を作る人ならともかく、歌のスペシャリストであるなら「何を」唄うかよりも「どう」唄うかの方が大事ではないか。
小谷隆


<< 松竹梅売りは業界標準になるか? >>


2002/10/2(Wed)

 9月26日に2曲入り豪華盤(1470円)と通常盤(1050円)、1曲入りの廉価盤(525円)という3パターンで発売された「ZONE」の「証」の売上が音楽業界で注目されていたが、発売週の速報が入った。3種類合計の総合順位では約5万6千枚で第3位だが、盤別では豪華盤が約3万3000枚、廉価盤が約1万2000枚、通常盤が約1万1000枚だった。発売元のソニーでは豪華仕様が一番売れていることを「コアなファンがまず買ってくれた」と分析。なるほどこれは予想外だ。一方、廉価盤と通常盤が競っているが、廉価版がずいぶん追い上げてきたらしい。
 さて、今回の試みは今後の業界標準になるか。
小谷隆


<< 「題材」の人格権 >>


2002/10/3(Thu)

 柳美里の小説がそのモデルになった女性からの訴えで出版差し止めになった。「女性と面識のある人間が読めばその女性であることが特定でき、人格権の侵害にあたる」という判決だ。
 僕も実在の人物を題材にした詞をいくつも書いた、というよりほとんどの作品にはモデルがいるが、さすがにその人がモデルだよと口にしなければ聴いただけでバレるような作品は幸いまだない。否、聴けばその人のことだとわかるほどの描写はまだできていないということか。
 いずれにしても、モデルになった人の人格を傷つけるようなものは書いていないが。
小谷隆


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