ホーム
> 小谷の250字
> 2002年11月(30)
<<
人物活写の妙
>>
2002/11/1(Fri)
およそ人の生活を描いた作品は人を描けてこそ際立つ。しかし昨今の映画やテレビドラマは有名なタレントの存在感に頼り過ぎて演出上の人物活写ができていない。たとえば「利家とまつ」でも唐沢や松嶋のキャラに依存し過ぎていて、シナリオや演出の妙で描かれた部分は少ない。
先日、東京国際映画祭に出品される日本・イラン共作の映画の試写を観てきた。トム・クルーズもブラピもいない。現地人の俳優は見知らぬ顔ばかり。しかしその人物描写には心打つものがあり、見知らぬイラン人俳優たちの表情は今もなお記憶に鮮やかだ。
小谷隆
<<
「癒し」の次に来るもの
>>
2002/11/2(Sat)
ネット関連のサービスを企画している人物から相談を受けた。癒し系のサービスを考えているがなかなかいいアイデアが浮かばないという。
しかし、これから新規ビジネスを企画しようとする者が今さら「癒し」などと手垢にまみれた言葉をよくも口にできたものだ。「癒し」の次に来るものを見つけてこそニュービジネスたりうるのではないか。
ヒットのアイデアは時代の飢餓の中にあると阿久悠さんは言う。癒されたら次はどうしたいか。元気と自信を失いつつある今の日本を眺めてみればそこに明確な答が浮かび上がってくるはずだ。
小谷隆
<<
音楽は減音増圧を目指せ
>>
2002/11/3(Sun)
シンセやレコーダーの発達で最近のサウンドは音数ばかりが増えてかえって厚みが損なわれている。しかしサウンドの厚みは同時発信数とは関係ない。白玉のコードをいっぱい鳴らせば厚みが出るというものではなく、時間軸に合わせて減衰する余韻の上に新たな余韻が重なっていってこそグルーヴのある厚みになる。音の絡み合いの中にこそ真の厚みがあるということだ。
昨今は企業でも減収増益を目指す時代。売上を減らしてでも不採算事業は切り捨てて儲かる事業に集中するのが生き残りの道といわれている。ならば音楽は減音増圧を目指そう。
小谷隆