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128段階の表現
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2002/4/1(Mon)
技術があるなら打込みより実演奏の方がいいに決まっている。表現の幅が圧倒的に違う。打込みではどんなにあがいても128段階のパラメータしか使えないが、人の演奏はアナログであって段階は無限だ。
しかし、逆にいえば音量に関して128段階よりも繊細な演奏のできる弾き手は多くない。なまじ下手な演奏なら打込みの方がかえって豊かな表現になる。
何でもかんでもナマが一番というのは非常に狭苦しい考えかもしれない。頭ごなしに打込み批判をする人はまずもって128段階よりも繊細な演奏がどれほどあるか検証してみてほしい。
小谷隆
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熟成か勢いか
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2002/4/2(Tue)
楽曲のアイデアを形にするには二つのやり方があると思っている。その場の勢いで完成形まで書き上げてしまうか、さもなくばアイデアを頭の中で熟製し、しかるべき段階にまで来てから作業するかである。
元は圧倒的に後者の方が多く、しかも熟製の過程でボツにしたものも少なくなかったが、しょせんそこまでのアイデアでしかなかったと割り切る意味では好都合だった。
が、最近では発想の優劣もさることながら初動の勢いそのものも実は大事なモチーフであると気づいた。フレーズではなく勢いこそが音楽の土台になることもあるのだ。
小谷隆
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余暇を使えない人種
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2002/4/3(Wed)
僕は計画に従って動くというのが元来とても苦手な人種のはずなのに、日常の7割が「予定」に沿って動かされている。残された僅かな時間も「予定」の準備やら後始末やらに大半が消費される。本当に自由になる時間は極めて少ない。
おかげで限られた時間内で集中的に物事をこなす習慣が身についた。今ではまる1日のあいだ好きに何でもやれと放り出されても逆に手持ち無沙汰になる。忙しい時の方がいい仕事しますね、と厭味を言われることもあるが、あながち的外れでもない。とはいえゆっくり音を吟味する時間もほしいとは思うのだが。
小谷隆