2002/3/28(Thu)
島の目抜き通りで「ゆず」を聴いたかと思えば、もどきの邦人ストリート歌手にも遭遇した。歌はお世辞にも巧くない。顰蹙の眼差しで通り過ぎる日本人観光客。たまに拍手や口笛をまじえて茶々を入れる呼び込みのフィリピン系の男たち。当の唄い手の顔だけが恍惚に満ちていた。
人の評価さえ求めなければ何と楽な人生だろう、とその歌声を振りかえりつつふと思う。人の評価よりもまず自分の満足度。独り善がりと人は言うけれども、そうした謗りさえ意に介さない強い精神力もアーティストの必要条件の一つであるのかもしれない。
小谷隆