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<< 楽聖に酔う(下) >>


2003/1/2(Thu)

 ベートーベンの7番で久々に打ち震えて以来、スコアを手放せなくなっている。まったくもって200年も演奏され続ける曲というのは楽譜を見ても永年の風雪に耐える緻密な木造建築を思わせる。見た目は堅牢さの中に繊細な危うささえ醸し出す建物であるのに、その危うさがいささかも崩れず保たれている古刹の堂閣のようだ。繊細さそのものが堅牢さを構成する。名曲とよばれる楽曲はそういう造りになっている。
 数年ぶりに楽聖の緻密な総譜を眺めるにつけ、未だ浅薄な己れの理論体系をよりいっそう深めていかなければと身が引き締まる思いだ。


小谷隆


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