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<< 内省の洞窟より出でし午後 >>


2003/5/18(Sun)

 微熱にうなされながら「フィンガルの洞窟」を聴いた。メンデルスゾーンがスコットランドを旅してできたこの曲は、大西洋の荒波の撃ちつける断崖絶壁にある名勝を描いたビジュアルな作品である。その音による描写の巧みさはかのワーグナーをしてメンデルスゾーンを一級の風景画家だと言わしめた。
 ウィーンフィルの重厚な演奏で聴かされると、スタッファ島の名勝の描写を超越し、洞窟がメタファーとなった深い内省の深みへと誘われる。そのダイナミクスに励まされてようやく重い身体を起こそうという気になった。音楽の力は凄い。


小谷隆


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