2003/7/3(Thu)
悲しい時に悲しい顔をするのは当たり前だし、そこには何の労力も才能も要らないが、寅さんのように顔で笑って腹で泣くのは言葉で言うほど楽なものではない。
とはいえそれができないならプロの表現者としては失格だ。悲しみの淵にあってこそ自らの中にわずかな歓びのかけらを見出し、それを何倍にも拡大してまずは自身を奮い立たせ、その威光で悲しみに沈む他人をも歓喜させてこそアーティストである。
アーティストはともに泣いてくれることで共感されるのではない。悲しみを共有してもそれを乗り越える力を与えてこそ共感されるのだ。
小谷隆