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<< 没交渉と春の虫 >>


2003/8/25(Mon)

 かつて面と向かって話す機会もないまま感情的な理由だけで反目しあっていた人がいた。似たような立場にあることが互いのプライドを不必要に刺激し、憶測だけで相手の悪口を言い合っていたものだ。それでもふとしたことでじっくり対話する場ができてからというもの、憶測が憶測でしかないことを双方ともに理解し合うことができ、今では同じような境遇ゆえの特殊な悩みを共有できる数少ない相談相手の一人ですらある。
 対話の途絶えた場所は憶測による蠢動ばかりが賑やかだ。今夜もどこかで春の虫のごときメールが飛び交っている。


小谷隆


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